大学の学部や学科は文系に通っているけど、大学院は理系へ行くのは可能なのでしょうか?
この記事では元文系だったのに理系大学院を卒業しているというと人によく聞かれるので、文系の大学から理系大学院へ理転が可能なのか、を解説します。
理系大学院への進学で院試なども経験しているので、今までの経験を元に大学院を文系から理系へ理転するためのポイントをまとめました。
結論から言うと「理系枠」は会社や業界によってはかなり重宝されますし、他の人との差別化の要因にもなり得るのでメリットは多いです。また大学や大学院で学んだことがそのまま仕事に活かせる場面も多いと感じています。
ただし道としては茨の道になってしまうかもしれないので、注意も必要。
大学受験前に「文系」の進路を決めたけど、いざ就職を考えると文系では行きたい会社や仕事ができない…など壁にぶつかり始めて大学院での理転を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
文系大学から理系大学院へ理転は可能なのか?
理系大学院の出身者として言うと、文系大学生が理系大学院へ進学することは「不可能ではない」です。
私自身高校の時は私立の進学クラスにいたため、英語や現代文と言った文系科目のみしか学習していません。なので理系科目に関しては高校2年生の途中までの範囲しか学校では習っていません。
それでも大学は「文理共通」と言われる学科に進んだだめ、受験勉強や大学の勉強では数学に関係する単位を避けたり、わからないことは参考書を買って独自に勉強すれば大した問題にはなりませんでした。
ただし元々ある理系科目の知識、向き不向きなどによっては大学院への理転はハードルの高さは変わってきます。
大学院理転を考える時の注意点
文系大学生が大学院での理転は不可能ではないですが、理転を決める前に注意して欲しいことが1つあります。
それは大学院で理転してまでやりたい分野やテーマが、本当に情熱を持ってやり遂げられるという確信です。
文系の学部や学科から理系へ理転するということは、大学で学ぶべき基礎知識がほかの学生より少なく不利な状況になります。
必然的に大学院での授業や研究課程ではキツいと感じることもあるはずで、ほかの大学院生よりさらに時間がない中で多くのことを学ぶ必要もあると簡単に予想がつきます。
ほかの学生が4年間で学んできたことを大学院進学までに独自で学ぶ、大学院進学後も学べる…
こう言った基礎知識の習得コストを掛けるのがなんでもないくらい好きな分野やテーマなら、大学院から理転しても将来の成功につながるでしょう。
私の場合は理転と言っても、当時情報系の新設学科への進学でした。
父はエンジニアで子供の頃から周りにパソコンがあり、中学生からは独自にホームページ作成するくらい好きで自然と理解できる分野でした。
算数や数学の授業は超絶苦手でしたが、プログラミングなどを学ぶなら公式や数学の問題を解く機会は少なかったのが功を奏しました。
理転と言っても学びたい分野や将来進みたい道によっては受験や高校までの教科は関係ないこともあります。
ただし1日中やっていても飽きず、どんなに困難があっても好きでやり続けられることが大学院では必要になります。
学会での発表、4年のゼミ生の指導、論文執筆などを2年間でやらなければいけないので、「ただ行きたい」だけなら大学院はおすすめできません。
それでも大学院から理転したいならポイントを抑えてチャレンジしよう
大学院でやりたいテーマは絶対情熱を持ってやれる、ほかの大学院生より勉強しなければいけなくなっても文系大学から理系大学院に理転したい!
もしそう考えるなら大学院からの理転を成功させるポイントは、3つあると考えられます。
- 大学の学部から理転できないかを検討する
- 研究分野やテーマ選びは慎重に
- 教授との親交を深めておく
それぞれ解説します。
大学院からの理転ポイント1:大学の学部から理転ができないかを検討する
当たり前のことですが文系大学から理転して理系大学院へ進学するなら、今通っている大学で理系学部へ理転しておくのが最も手取り早い方法です。
私の大学の場合は2年生から3年生に進級するタイミングならば通常通り4年間で大学は卒業でき、3年生から4年生のタイミングならプラス1年間の通学が必要だったと記憶しています。
大学院への進学や理転を検討しているタイミングが早ければ早いほど、時間のロスなく理転ができます。
大学の学部から理転するメリットは、以下の2点です。
- 大学院での研究分野やテーマの基礎知識が学べる
- 大学から大学院へ内部進学する場合は院試が楽になる
院試は今通っている大学の付属大学院へ内部進学するのと、別の大学院へ外部進学するのではまず試験対策の方法が違います。
大学と別の大学院へ進学する場合には、大学の成績、英語の能力、研究計画書のほか、進学する専攻の専門分野などに関する知識を問う筆記試験も必要です。
反対に内部進学の場合は大学院進学への条件が、大学の成績順位、英語の能力試験、教授推薦、研究計画書、面接と院試の負担も最小限。
大学から大学院へそのまま進学する場合は指導教授が変わらないことも多いので、院試の半年以上前から試験を見据えたフォローをしてもらえます。
大学院からの理転ポイント2:研究分野やテーマ選びは慎重に
大学院からの理転で重要なのは、大学院でやりたい研究分野やテーマが大学で所属する学科や学部でやった内容とどれだけ重複するかで成功率は変わります。
大学院は大学でやったことをさらに深める場所であり、大学院での研究は一般的な理論などをベースにいかに独自の視点で新しい提言ができるか、が重要です。
大学院では原則研究に入る前の段階の学習である基礎研究が終わっていることが前提であり、大学での4年間の基礎知識が全くなければ非常にキツい大学院生活となります。
そのため少しでも大学の専攻に関連する分野を選ぶことが、大学で学んだ基礎知識を最大限に活かす術です。
例えば経営・経済学でやる統計分析は情報系の大学でも履修科目に入っている場合も多く、関連が深いといえます。
このように大学で学んでいることと関連性があるテーマを大学院でも選ぶことで、全くゼロからのスタートではなくなるため、大学院進学後も何かと苦労は減るでしょう。
大学院からの理転ポイント3:教授と親交を深めておく
大学院からの理転では今通学している大学の指導教授と、進学を希望する先の大学院の研究室の教授2人のサポートが大きく必要になることがあります。
特にゼミがある3年生、4年生なら希望する大学院の教授へ大学のゼミの指導教授に口利きしてもらうなど、何らかのコネを作りやすく大学院進学でも大きな力になります。
進学先の大学院の教授には早めに連絡を取り、院試の対策やその教授が支持・推薦している基礎研究の資料などを早めにヒヤリングしておくべきでしょう。
特に外部進学で大学院へ進学を考えているなら、内部進学でその教授のところへ進学する予定の学生が聞いている情報はリサーチしておく必要があります。
大学ではさほど教授陣とやり取りするのは少ないかもしれませんが、大学院では教授との付き合いも非常に重要になるので、この辺りは早めにアポイントを取った方が良いでしょう。
大学院によってはオープンキャンパスなどもあるので、そのタイミングで目当ての教授やテーマ、専攻をリサーチしに行くのも良いと思います。
大学院からの理転も不可能ではない!ただし戦略を持って理転しよう
文系の大学生の理系大学院への理転は不可能ではありませんが、普通に進学をする学生と比べて戦略的な進学が必要でしょう。
研究職や大学・大学院修了レベルの知識や実績を求められる会社や業界であるなら、当然理系大学院への進学しかない時もあります。
基本的には私のこれまでの経験では、無理だと思っていても実はできたなんてことも多かったので、ほかの人に無理と言われても物理的に無理になるまで挑戦する道を考えるべきだと思います。
大学院で理転を考えている人は、ぜひここで紹介しているポイントをうまく使いながら、大学院での理転にチャレンジしてみて欲しいです。
何が正解ということはありませんが、情熱を持って大学院に行けると確信ができているのなら、文系の大学からでも理系の大学院への進学は不可能ではないはずです。
ただ正直会社に言うと特殊な事情がある以外は、まず日本の社会で大学院を修了が有利に働くかどうかはわからないことは頭に入れておくべきです。また会社に入ってしまえば、一般的な会社の仕事の内容に文系や理系という区別もないことがほとんど。
本当に理転して大学院へいかないと、自分のやりたい仕事ができないのか?
社会人をやりながら他で学んで転職できないのか?
そう言った別の選択肢も常に考えていただきたいです。
色々なオプションがあることを理解しながら、いち理系大学院修士経験者の話としてご紹介したことを考えていただけると嬉しいです。